特集:マルチビーム深浅測量

マルチビーム深浅測量とは?
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マルチビーム深浅測量とは?
マルチビーム測量は、複数の音響ビームを同時送波することで、一度に広範囲の地形を計測できる音響測深技術です。
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ICT浚渫工に活用
マルチビーム深浅測量は、ICT活用工事(浚渫工)の起工測量技術として注目を集めている技術。
令和2年度からは、ICT活用事業の構造物工事でマルチビーム深浅を活用した3次元起工測量の実施がスタートしました。
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CSSのマルチビーム深浅測量はi-Construction対応
CSS技術開発では、国土交通省の『マルチビームを用いた深浅測量マニュアル(浚渫工編)』に準拠。
高い精度で計測できる手法を確立しています。

スワス角90°~120°
スワス角とは、音波ビームを発振する範囲のことです。
スワス角が広くなるほど音波ビームが広い範囲に届きますが、その分 計測できる点の密度が低くなり、両端の誤差が大きくなります。
CSSではスワス角を90°~120°の範囲に調整し、計測の精度を確保しています。
点群の重複度合い(ラップ率)30%
水底に岩やブロックなどの構造物があると、音波が遮られて計測できないブラインド部(未測深部)が発生します。
このブラインド部を無くすために、CSSでは計測範囲を30%重複させています。
取得点密度3点以上/1.0m平面格子(達成率99%以上)
取得点密度は、スワス角、水深、航行速度、周波数、計測範囲の重複度合いによって決まります。
計測時はソフトウェアでリアルタイムに計測状況をモニタリングし、計測漏れが無いかを随時チェックします。
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CSS保有機器

搭載マルチビームソナー
精度:±10cm
ビーム数:256本(一度に最大256点を計測)
測深範囲:1m~160m
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計測データサンプル


ICT浚渫工の測量でお困りなら、お気軽にご相談ください。
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ここからはさらに、マルチビーム深浅測量がどのような原理で計測されているのかを詳しく解説します。
マルチビームとシングルビームの違い


「マルチビーム深浅測量」の登場とともに、これまで行われてきた深浅測量は「シングルビーム」と呼ばれるようになりました。従来手法であるシングルビーム深浅測量では、1本の音波ビームにより航行したラインを計測するためです。
マルチビーム深浅測量では、複数の点を一度に計測できるため、地形を「面」として3次元測量することができます。
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マルチビームによる計測の原理
マルチビーム深浅測量はどのようなしくみで3次元測量を行うのか、その原理を詳しくご紹介します。
音波ビームで水底までの距離(Z値)を測る
深浅測量は、TLS測量のようなレーザー光ではなく、扇状の音波ビームによって、ソナーから水底までの距離を計測します。
クロスファンビーム方式



マルチビーム深浅測量は、多くがクロスファンビーム方式で計測されています。
この方式は、ソナーから扇状の送波ビームを横方向に発振し、水底に反射して戻ってくる受波を縦方向のスリットで受信します。この送波と受波がクロスした部分が、マルチビーム深浅で計測するポイントです。
受信部には複数のスリットが並んでおり、1回の発振で多くのポイントを計測することができます。
CSSの所有するソナーは、1度の発振で256点の測深計測が可能です。
マルチビームソナーの計測値
音波ビームで計測されるデータは、ソナーから水底までのデータです。
この計測データに「水面の標高」や「水面からボートに取り付けたソナーまでの距離」を反映する補正を行い、正確な「水深」が取得できます。
[水面の標高*]-[水深値*]
※水深値=[水面からボートに取り付けたソナーまでの距離]+[ソナーから水底までの距離]
※水面の標高=光波で現地観測した水面標高、または検潮所で観測している水面標高
GNSS測量で計測点の位置情報(XY値)を測る
参考資料
港湾におけるICT導入検討委員会 第9回 委員会資料(令和2年)
https://www.mlit.go.jp/common/001329148.pdf
マルチビームを用いた深浅測量マニュアル(浚渫工編)(令和2年)
https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001335208.pdf